投資だとか運用をやっていて、例えばS&P500等の指標に連動するインデックス型投資信託を、ネット証券など手数料の安い証券会社で積み立てておけば安牌でしょう、等という意見をネット界隈でよく目にします。この手の論者は配当は損、利益確定は手数料分損するので複利効果を得るためになるべく利益確定を後回しにしようなどという意見が多い印象。しかし、私はこういう銘柄こそ利益確定が大切に思います。すなわち資産がどれくらい増えるかが着目されがちですが、資産は使うことが全てだと断言します。ここでは、無配銘柄の積み立ての利益確定についての話をします。
資産形成に専念した60歳独身男性が婚活を始めるってどう思う?資産を増やすことだけを考えていると人生のタイミングを逃すよ。
資産は増やしてなんぼだと思う人へ、違うぞというために極端な例を挙げてみましょう。ある60歳の独身男性、老後のためにと「若いころに一切の贅沢を我慢」して資産形成を頑張った人がいた人がいたとしましょう。そして60歳時点で自分が自由に使える資産が5億円まで増やせたとしましょう。もう老後資金の不安はほとんど問題ないから、一人では寂しいしそろそろ婚活を始めようか、と行動にでる。
この男性のやり方、皆さんは適切だと思いますか?まあ、何歳から婚活を始めるのも個人の自由だし、他人がどのような価値感で生きていても干渉する必要ないという意見もあると思いますが、もし自分事として見る場合は、ほとんどの方は「どうせ婚活するなら若いうちにやれよ、将来的に形成できる資産が減ったとしても」と思われるのではないでしょうか。この老人が若いころ婚活に資金を割く場合、運用資金が減りますので、複利効果も効いて60歳時点の資金は↑の場合より少なくなると考えられます。一方で、結婚相手を見つけるという観点で見れば、初婚の60歳に比べれば、50、40、30歳と年齢がある程度若ければ若いほどチャンスは大きい (かつよりよい相手を見つけられる期待値も大きい) と考えられます。
このように資産形成という概念において、いくらお金を増やせたとしても、使いたい時期に使いたい用途で使えなければその資産意味あるの?という話になります。例えば、死ぬときに資産がいくらあっても、その資産は何なのか (相続目的でなければ)、という話になりませんか?資産は、生きている間に自分のために使ってこそ意味があると思います。
無配銘柄こそ利益確定が大切 (むしろ難しい)
例えば人気の投資信託の積み立てで、S&P500やNASDAQ100等の指標に連動するインデックス型投資信託が良く選ばれる傾向があります。確かに、過去30年単位のスパンで、これらの銘柄は上昇し続けており、過去のように推移するのであれば、堅実なリターンを期待できると考えられがちです。投資家としては、私は過去はあくまで過去であり、未来も過去と同様になるとは限らないと考えていますが、今回は簡単のために、毎年必ず値上がりする投資信託があると仮定しましょう。断言します。毎年必ず値上がりする投資信託でも、利益確定 (どこで崩すか) が最も大切です。
↑の60歳で婚活を始める資産5億円の独身男性の例のように、人生にはタイミングがあります。資産を増やすことだけを考えれば、毎年必ず値上がりする投資信託を保有する場合、ずっと積み立て運用するほうが資産は増えます。しかし、人生において、資産は手段であって目的ではありません。自分が価値があると考える対象に対して、資産を崩してお金を使うのも非常に大切になります。極端なことを言えば、いくら資産を増やせても本人が幸せだと思えないのであれば、その投資は意味がない、となります。自分が大切にするものは何?それはいつ叶えるチャンスがくるのか?そのためにいくらお金が必要なのか?資産を崩しながら残った資産をどうやって増やすのか?こういうことを考えながら、いつ資産を崩すのかを常に考える必要があると私は思います。
資産を増やすだけであれば、配当 (あるとその分税金がかかり運用資産が減るので) はない方が良いと考える人もいますが、元本を崩さずに利益確定する意味で、配当はFIER等、運用資金を生活に投入するのに向いています。対して投資信託の積み立て、特に成績の良いインデックス型の投資信託を積み立てるのを好む人ほど、「いつ利益確定するかに考えが向いてない。むしろ利確が一番大切だと思うが」という印象を受けます。そういう人ほど思考停止していて、とりあえず増やすことにばかり目が向いている印象を受けます。実際にやるとわかりますが、利益確定はやり慣れてないと案外難しいです。タイミングは果たして今が適切か。利益確定をせずに運用するとどれぐらい増えるか等、その時になると崩したくなくなったり等でタイミングを迷うことは多いと思います。その運用はなんのためで、いつ、何に対してそのお金を使うのか (もちろん当初考えていた用途と違う使い道になったとしても、その時の目的を果たせるなら大丈夫だと思います) 常にしっかり考えるのが投資家として大切だと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿