住宅購入の理由が、賃貸より買う方が安いからという判断は、馬鹿な投資判断になりがち~常勝トレーダーが伝える住宅業者や金融機関やFPが絶対に教えてくれないであろう投資の本質_#67

子育て世帯特に、住宅ローン控除もあり、ローンの支払いのほうが賃貸より安いからという理由で住宅を買ってしまう人が多くいると思います。確かにその通りなのですが、これは投資家としてみると馬鹿な判断になっている例が多いです。というのは、多くの場合、賃貸から持ち家になって浮いたお金を贅沢や運用にまわそうと考えがちです。これが悪手中の悪手なんです。後になってから生活が苦しくなり、こんなはずじゃなかったと思う人が多い案件ですが、投資家として言わせてもらえばなるべくしてそうなっていると言えます。株式 (長期積立、短期信用)、投資信託、不動産、保険等の金融商品を実際に運用し、運用を始めてから毎年利益を出している「勝てる投資家」として、リスクコントロールという視点から解説します 。


賃貸 vs 持ち家という議論、持ち家は安い?

賃貸物件より購入してしまう方が、住居費は安くなるよ、という話がいろんなところで言われています。結論から言うと、近視眼的には事実で、包括的にみると違うかもしれない、ということです。住宅を販売する業者や金融機関などでもよく言われており、それ自体間違っていないのです。「賃貸であれば、管理費や中間手数料がかかるが、購入するとその手数料が浮き、住宅ローンの金利が安いので、ローンを払う方がお得である。更に、住宅ローン控除や、職場からの住宅購入の手当などがある場合もある。」ここまでは確かにその通りです。単なるセールストークではなく、事実です。問題はその先、この住宅という金融資産がどんな性質の資産であるか、住宅を買った後のリスクコントロールについては、住宅販売会社や金融機関からみると保証の対象外の案件です。ファイナンシャルプランナーについても、金融資産の運用を一通り理解しているかといえば必ずしてもそうではありません (自分で運用をして結果を残している人や、そういうノウハウを持っている人は少ないと思います)。これが投資家として見れば一番重要な部分であり、恐らく住宅を購入した人が頼りそうな人からは絶対に教えてもらえないであろう視点だと思います。

投資家としてのリスクコントロール

リスクコントロールは、正直、投資家として二番目くらいに重要な概念で、大多数の個人投資家 (特に負けてる人) ができてない概念だと思います。前提として、投資は予想が当たった外れたの丁半博打ではない、ということです。予想を当てるゲームだと思っている人は、恐らく長い目で見ると負けると私は考えています。運用というのは、思い通りにならない=予想を外すことはよく起こります。予想通りにならなかった場合、特に含み損が出た場合を想定し、持っている資産をつかってどうやって立ち回るのか、というのがリスクコントロールになります。ここで言うリスクとは、「変動」という意味になります。自分がどれくらいのリスクをとれるのか (特にどこまで負債を受け入れることができるのか)、そしてその場合どうやって対応するのか、その余力を作りながら運用していくものです。勝てる投資家というのは、予想の的中率が高い人ではなく、リスクコントロールが上手な人のことです。悪い例が、取引限度額をほぼ100%投入する信用取引 (レバレッジをかける:借金しての取引) です。私はこれを所謂フルバーストとよんでます。フルバーストした場合、予想の通りになれば良いのですが、もし予想を外した場合、(追証や追加入金が発生し) 意図しないタイミングで損切を強いられます。そうして残ったお金を別の運用に回したとして、損切のタイミングを自分で選べていない (選ばされている) ので、コントロールできていません。こういう状態は、どんどん資産を減らしてしまう典型例です (所謂ゼロサムゲーム、幸運が続けば10万円から1億円になることはあるけど、99%くらいの大多数はすっからかんになる運用)。損が出ることは前提として、生じた損益を受け入れられる範囲でこちらでタイミングを選んで受け入れ、利益とバランスを取りながら運用していくのが大切になります。負ける人はだいたい予想の当たりはずれやチャートの上下ばかりを見ていて、リスクコントロールができてないことが多い印象を持ちます。

住宅購入におけるリスクコントロール: 「金融資産として住宅はどんな商品か?」を踏まえて

さて、リスクコントロールについて軽く触れたところで、住宅がどんな金融商品か押さえておきましょう。ざっくり言うと、見るべきは3項目です。
  • 土地: 固定資産 (価値が0になることはない資産。外国通貨をもつようなイメージ。)
  • 建物: 減価資産 (時間が経てば資産価値が下がっていくもの。例えば若さ。)
  • 負債: 借金 (住宅ローンやキャッシングなど)
住宅を買うとは、土地という固定資産、建物という減価資産、負債という借金の3つを保有することに相当します。土地の価格は変動するので、上昇することもあれば、減少することもあるでしょう。建物部分は新築の時が最も価値が高く、1秒でも使用すると時間経過ともに価値が減っていくものです。特に、自然災害など、予期せぬ形で損傷した場合、借金部分をカバーできなくなる恐れがあるのが要注意です。建物の価値が上がる場合は、増改築と有名人などと縁ができてプレミアがついた場合くらいで、基本的に価格が下がったら戻らないものと思って大丈夫です。大切なところが、負債部分。全額現金で購入した場合はこの話を割愛してよいと思いますが、住宅購入費の大部分をローンで賄うのが一般的です。これが、レバレッジをかける取引に相当していることを、購入者がきちんと理解していることが大切です。レバレッジをかける取引それ自体は悪くないです。しかしながら、リスクコントロールを要求される上級者向けの取引であり、住宅を買う人の大部分がこんなことは考えていない印象です。株やFX等で、信用取引 (借金する可能性のあるレバレッジをかける取引) は怖いと思うけど、住宅をローンを組んで買う事は怖くないという人が割といますが、私からすると不思議でなりません。住宅は、ローンが0円の場合は現物資産 (個別株や投信など)、ローンがある場合はレバレッジ取引と同様と考えるのが妥当でしょう。そして、住宅購入におけるリスクコントロールとは、住宅を手放すリスクに対応できる余力を残す、ということです。特に備えるべきは、不確定要素です。逆に言えば、それができなければ購入はまだ早く、現時点では賃貸が望ましいと考えることができます。
  • 迷惑な隣人がいて耐えがたい
  • 所得の変化 (昇進、転勤、退職、景気などに影響)
  • 転勤 (栄転を含む異動、転職、子供や親等の家庭の事情の変化など)
  • 事件や事故による損傷や災害 (地震、噴火、水害、戦争etc)
  • 急な出費 (離婚等に伴う財産分与、学費、介護費用、冠婚葬祭など)
例えば、上記のような可能性はある程度想定できるものです。このようなケースに、万一住宅を手放して、別の住宅、ないしは賃貸物件に住み替える余力を残しておけなければ、住宅にそのまま住み続けることになります。特にどんな理由であれ、住宅を手放しても借金が残ることに注意する必要があります。土地と建物を換金した金額が、借金と比較して小さければ、売却は有効ではないでしょう。こうなると生活が苦しくなってしまいます。そうなっても、資産や選択の自由を大きく失わずに生活を成立させるのが、住宅購入におけるリスクコントロールです。

運用もダメかという話ですが、例えばiDeCoや積み立てNISA等は、一定期間引き出すことができません。賃貸→持ち家と持ち替えて浮いた固定費でこういう資産を持った場合、これらの資産は引き出すことができないので、急にお金が必要になった場合、お金はあるが使えない、という形になります。また、個別株などでも、その時点で換金する対応ができるか、ということをまで考えて運用ができているのかが問われます。リスクコントロールができていない人が、安いという判断から行う運用の場合、そこまで考えている人は少なく、iDeCoや積み立てNISA、投資信託クレカ買い付けなどの定額積立が有力候補となることが多い印象を持ちます。このような商品を中心に運用をしている場合、資産を緊急時に取り崩せなければ、借金を抱えるリスク因子であると理解する事が大切です。

リスクコントロールができてない多くの人がやりがちな悪手について

多くの人がやりがちな悪手が「住宅を買ったので、賃貸に比べて生活費が浮いた。浮いたお金を自分たちのために使おう」という発想。住宅購入=節約という考え方。これはもし負債を抱えている場合は、リスクコントロールをしっかりしておかないと大変なことになる例です。さあお金が浮いたぞ、車を買おう、子供の養育費に充てよう、習い事にいこう、美容 (エステなど)、健康などに住宅で浮かせたお金を充てよう。浮いたお金で預金/運用しよう。こういうことをすると、↑みたいな、リスク因子が発生したとき、途端に生活に困ります。所謂レバレッジありのフルバースト運用の状態になっており、想定外の出費があれば即損切りを強いられるポートフィリオ (配分) となっています。何よりタチが悪いのは、ほとんどの場合、当の本人 (達) がフルバースト運用をしていることに気づいてない点です。何かあったときに、取り崩す資産を用意できていない場合、生活が一気に苦しくなります。車を売るか、塾をやめるか、エステをやめるか、積み立てたお金を崩すのか、こういう議論をせざるを得ず家庭の不仲を招き得ます。皆が口をそろえて、こんなはずはなかったと言います。しかし、投資家として言わせてもらえば、なるべくしてそうなっているということです。これが所謂、リスクコントロールができていない状態です。だから、多少の状況の変化を予想したうえで、習い事などを、余力のある範囲に抑えるということです。ここで行き詰ったときに頼られることが多いのが、ファイナンシャルプランナーという人たちです。彼らは、家庭のお金の配分に関するプロのアドバイザーです。このタイミングでの彼らからの提案は、株などの運用で言うところの損切です。お金の流れを整理して (痛みを伴うが)、現状の立ち回りを指南してもらうことが期待できます。それ自体は悪いことではありませんが、彼らも仕事ですから、ファイナンシャルプランナーに助けてもらわざるを得ない状況になればなるほど、費用が発生します。株式でいうところの、強制反対売買が発生し、オペレーターによる強制資産売却が行われている状況となります。こうしてますます「買ったほうが節約になる」という当初の思惑から離れていきます。ファイナンシャルプランナー自体は家計の味方的な立場ではありますが、彼らがいなければ生活ができない状態はまずいです。というのは、自分 (達) ではリスクコントロールができない状態になっているので、自分で考える (対応する) 余地がないということです。個人的には、ファイナンシャルプランナーに頼ることを検討されている方は、ヤバそうだと感じる前に相談をして、損切以外の選択肢を選べるうちに一緒に考えるのが望ましいと思います。

打算でみるカモにするルート

ここまで踏まえた上で、ちゃんとリスクコントロールを理解していない客に住宅を買わせる、という戦略が、情弱 (バカ) をカモにするやり方と邪推できる要素でもあります。買ったほうがお得というセールス文句で、とりあえず住宅を買わせてしまうと、住宅販売業者 (販売益;窓口、建設、土地、素材、物流含め) に利益が生じ、顧客がお金を借りるため金融機関や保証会社 (ローンの利息の益や手数料) が潤い、リスクコントロールできていない顧客が将来的にファイナンシャルプランナーに流れる。これらの業界の利害関係が一致するわけです。ただし、先にも述べていますが、賃貸より買ったほうが一見安い、というところまでは事実です。決して顧客を騙して商品を売っているわけではありません。しかし、顧客がリスクコントロールが正しくできていないので、失敗するわけです。逆に考えれば、きちんとリスクコントロールができれば、賢い運用となります。年々給料が上がることが保証されていて、なおかつ生涯同じところで働く前提の、一昔前の典型例のような場合は、賢い運用になる可能性が高いと言えます。従って、働き方や価値観が多様化した現代は、住宅購入の際にリスクコントロールが必要になる (できていない状態だと大変な目に合う可能性が高い/ 親世代の前例と同様に考えて住宅を買うのは危険) と言えます。

まとめ

住宅購入におけるリスクコントロールとは、住宅を手放すリスクに対応できる余力を残す、ということです。自分達家族の取り得るリスクを正しく把握し、うまくコントロールすることが非常に大切です。現代では、30代子持ち世帯は、ローンを組んで家を買い、車を買い、子供の教育のために習い事を...的なテンプレート的なものに、皆がやってるからなどと深く考えずに乗ってしまうと大変なことになるよ、と投資家として指摘します。よく言われる「賃貸 vs 持ち家」に関しては、投資家としては、「リスクコントロールができるなら持ち家がお得、リスク許容度を超えているのであれば賃貸推奨」ということになります。各家庭の置かれている環境によって、最善、次善策は全く違うということです。確かに持ち家は賃貸に比べて節約になりますが、それはリスクコントロールができている場合に限ります。投資家ですらリスクコントロールができてない人がそれなりにいるので、難しいかもしれませんが、まずはこういうことを意識するだけでも違うと思います。もしできない自覚があるなら、住宅を買われる前にファイナンシャルプランナーに相談されることをお勧めします。損切が必要か等についても、早いタイミングで指南していただくほうが望ましいと思います。

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